パパが飲んだビールシリーズ59
醸造:ペンシルベニア州ラトローブ
アクセス:
ワシントン界隈であればたいていのお店で置いているように思う。
寸評:
Rolling
Rock Extra Pale Lagar
“Very
American, but with more flavor than the average domestic beer; taste is evenly
distributed on the tongue, palate, and throat; blunted crispness sits well at
the back of the tongue; paints its own texture and color; tasty, but not
complex or dynamic; one of the better mass-market American beers. Goes with virtually any food.” (The
Beer Lover’s Rating Guide)
第三者評価は不明ながら、「エクストラ・ペイル」を薄くした感じ。
ひとこと:
以前、「ピルズナー・ウーアケル」について書いた際、「私立探偵スペンサー」シリーズに登場するビールの話の中で、主人公スペンサーのビールの趣味について、「ピルズナー・ウーアケル」と比較して「ローリング・ロック」にこだわるスペンサーはビールを知らないのではないかというスペンサー研究家の論調に、ビールの味なんて主観に左右されるものだから、格付け書なんて当てにならないと反論したのを覚えておられるだろうか。このスペンサー研究家の東理夫・馬場啓一両氏の著書からの引用である。
(スペンサーは)そのかわりにというにはあまりにもドメスティックな、ロリング・ロック・イクストラ・ペイルに走るのである。特に『儀式』では、最高得点のウーアクウェルを飲ましてもらったにもかかわらず、当のスーザンに、「ロリング・ロックと鴨とキミさえあれば・・・」とぬけぬけと言っている。十作目の『拡がる環』では、世界一のビールだと言うほどののぼせようで、ことに酒屋の買いとってくれる首長瓶がお気に入りだ。(中略)ペンシルバニア産のこのロリング・ロックがグルメ・ガイドで星1つという低い得点であることを考えると、はたしてスペンサーはビールがわかっているのか、自然と首が傾いてくる。(東・馬場「スペンサーの料理」1985年、早川書房)
15年近くにわたってスペンサー・シリーズの愛読者だったぼくは、アメリカ赴任がわかった段階で、この「ローリング・ロック」というビールを飲めることが非常に楽しみだった。家族を残して先にワシントンに乗り込んだぼくが、住居をアーリントンの今の家に定めて引越し作業もひと段落したところで、12缶のパックを買って来て1人で我が家で飲んだビールが「ローリング・ロック」だった。言ってみれば、ぼくのアメリカ・ビール探訪の旅の出発点がこのペンシルベニア・ビールだったのである。味はこの際置いておくにしても(ぼくは同じペンシルベニア産で同じ程度のアクセス度だったら、「イングリング」の方が美味しいと思っているから)、どんなビールかと長年楽しみにしていたビールにようやくありつけたという意味ではとても嬉しかった。以来、ぼくはビア・パブに入ると「ローリング・ロック」を注文することが多い。たいていの人が「バドワイザー」「ミラー・ライト」辺り、良くて「サム・アダムス」辺りから入るのと比べて、ぼくが「ローリング・ロック!」と言うと、周囲の反応は「どんなビールなの、それ?」と来る。一種の話題提供だ。そこから話は「私立探偵スペンサー」へと展開する。
緑色の独特なボトルで、たいていのスーパー・マーケットで見かける。味の方は、前掲の東・馬場の中ではこき下ろされているし、ぼくが持っている「ポケット・ガイド」でも1つ星と2つ星の中間ぐらいらしい。でも、ボブ・クラインの格付けガイドでは、3.6と同種のマスプロビールと比べてかなり良い。このことから見ても、ビールの味の感じ方は人それぞれなのだろうと思う。
(2003年3月22日)