パパが飲んだビールシリーズ54
醸造：メリーランド州ボルチモア
アクセス：
ソフトリカーの量販店「トータル・ワイン」でのみ入手可能
寸評：
McHenry Old Baltimore Style Beer
“An old-fashioned flavorful hoppiness waits a while before rising
gracefully through the golden body and fluffy white head. The malty character serves as a
flotation device, helping boost the combined malty-hop taste. This Baltimore brew finishes with a
delicate honey-sweet maltiness and a blended, lightly hopped quality that adds
smoothness. Easy-drinking HcHenry
is eminently quaffable.” (365 Bottles of Beer for the Year 2003)
比較的歴史の新しい醸造会社であるため、主力商品の殆どが、格付ガイドブックなどでは紹介されていない。インターネット上でビールのコメントを載せているサイトの中には、「マクヘンリー」に言及のあるものもあるので、次のサイトをご参照下さい。
ひとこと：
先ず、最初にお断りしておかねばならないのは、この「マクヘンリー」というビールは、「クリッパー・シティ醸造会社」の１ブランドであるという点だ。これは、「オールド・ドミニオン醸造会社」が主力の「ドミニオン」ブランドの他に「スウィートウォーター・タバーン」を生産していたり、「フレデリック醸造会社」が「ブルー・リッジ」、「ワイルド・グース」等のブランドでビール生産を行なっているのとよく似ている。
同社の主力商品は「クリパー・シティ・ゴールド・エール」であるが、「マクヘンリー」投入は１９９０年代末のことらしく、「ゴールド・エール」との違いについて、「禁酒法解禁直後のボルチモアにおけるビール製造法を忠実に再現」して作られたビールだと形容している。「ゴールド・エール」は未だ飲んだことがないので、いずれまた紹介したいと思う。クリッパー・シティ醸造会社を１９９６年に設立したヒュー・シッソンは、ボルチモア市内でビアパブも経営している。「Sisson」といって、ぼくのＨＰの「ワシントン界隈のビア・パブ」のサイトにも載せているので住所を確認されたい。
「マクヘンリー」の名の由来については、これはボルチモアを観光で訪れた人なら誰でも聞いたことがあるのではないかと思うが、ボルチモアのインナー・ハーバーの南東にある半島に建てられた要塞「フォート・マクヘンリー」に因んだものだ。上空から見ると、星の形をした緑の要塞で、アメリカ国家「The Star-Spangled Banner（星条旗）」の発祥の地である。
「イギリス軍の攻撃に備え、独立を勝ち取るために要塞が出来上がったのは１７７６年、そして、実際にイギリス軍との熾烈な戦いが繰り広げられたのは１８１４年９月１３日のこと。マックヘンリーは無数のイギリス軍の砲撃を浴びたが、難攻不落の要塞の被害は微々たるものだった。２５時間にも及ぶ戦いを終えたあとも、要塞に立つ独立をめざす植民地軍のシンボルともいえる星条旗は力強くはためいていた。この平然と風になびく星条旗を見たジョージタウンの弁護士フランシス・スコット・キーFrancis Scott Keyが感激し、『星条旗』の詩を詠んだというわけだ。その後この詩にメロディーがつけられ、１９３１年にアメリカ国家となった。」（地球の歩き方・ワシントンＤＣ・アナポリス・ボルチモア２０００〜２００１年版より）
The
Star-Spangled Banner
Oh, say, can you see, by the dawn’s early light,
What so proudly we hailed at the twilight’s last gleaming?
Whose broad stripes and bright stars, through the perilous fight,
O’er the ramparts we watched were so gallantly streaming?
And the rocket’s red glare, the bombs bursting in air,
Gave proof through the night that our flag was still there.
Oh, say, does that star-spangled banner yet wave
O’er the land of the free and the home of the brave?
ボルチモアに大リーグ・オリオールズの試合を観戦に行くと、試合開始前のアメリカ国家斉唱が１つのお楽しみになっている。マクヘンリー要塞にたなびく星条旗を思い浮かべつつ、ビール片手に青空の下での野球観戦。これこそアメリカの娯楽という気がする。オリオールズのホーム・グランドである「カムデン・ヤード」で「マクヘンリー」が販売されていたかどうかは調べてみないとわからないが、今シーズンは松井選手のいるヤンキースとの試合でも観ながら、「マクヘンリー」か、せめてご当地ビールの「クリッパー・シティ」で一杯やりたいものである。
（2003年3月9日）
