パパが飲んだビールシリーズ58

 

Singha

 

 


醸造:バンコク(タイ)

 

アクセス:

ワシントン界隈であればたいていのお店で置いているように思う。

 

寸評:

SINGHA Lagar

“Smooth at first, followed by a sour citrus taste that overwhelms anything other than bland food; gentle and mildly tingly on the tongue; okay in a pinch.  A match for pasta with a simple fresh tomato sauce.” (The Beer Lover’s Rating Guide)

 

SINGHA GOLD Pilsener

“Light and bitter; watery; tastes too much like a weak American-brewed commercial product; harsh graininess becomes apparent and then quickly dissipates; clear light-golden color holds no fizziness; kind of the Coors Light of America.” (The Beer Lover’s Rating Guide)

 

ひとこと:

最近、お疲れ気味の山田パパである。なにせ、この2週間、毎日のように飲んでいたからだ。自分が幹事をやっていたケースも少なからずあるが、日本が年度末のこの時期は、お客様も多くて、仕事上のお付き合い的会食も中にはあった。そんな中、なぜか2週間の間に2回も行ってしまったレストランがある。ワシントンのK Streetにある「タイ・キングダム(Thai Kingdom)」というタイ料理のお店である。

 

実は、ぼくはあまりタイ料理が得意じゃなくて、自分でレストランを選ぶ時にはタイ料理は絶対選択肢に入れない。決して食べられないわけじゃないけれど、「トムヤンクン・スープ」なんて、ただ辛くて熱いだけで、何がどう美味しいのか全然わからない。南アジアの香辛料に慣れていると、タイの香辛料の刺激は少し異質なものに感じる。インド料理とタイ料理を比べるなら、インド料理を選ぶ。ところが、なぜか「タイ・キングダム」には根強いファンがいる。在米日本大使館のK書記官である。ぼくが「タイ・キングダム」で夕食を食べたのは過去3回しかないが、うち1回はK書記官が企画した会食だったし、1回は別の集まりでワイワイガヤガヤやっていたところ、K書記官が日本人の別のグループを連れて入って来られたこともある。もっと遡ってみると、K書記官とは別のタイ料理レストランでも一度宴席で同席している。その時も幹事はK書記官だった。

 

Thai Kingdom

2021 K St. NW (835-1700), near 21st St. Metro: Farragut West or Foggy Bottom-GWU. Overflowing with gilt decorations, pink wallpaper, and photos of Thai celebrities, Thai Kingdom features appetizers like "Famous Wings" (chicken wings stuffed with crabmeat, mushrooms, and noodles; $6) and entrees like "Anna and the King" (scallops wrapped in minced chicken fried with basil sauce; $7.95). Open M-Th 11:30am-2:30pm and 5-10:30pm, F 11:30am-2:30pm and 5-11pm, Sa noon-11pm, Su noon-10pm.

 

さて、本題の「シンハ」である。ボブ・クラインの評価は、「ラガー」で2.5、「ゴールド」で0.9と、極めて辛口評価である。「タイ・キングダム」で飲める「ゴールド」など、「クアーズ・ライト」に匹敵するとまで言われている(「バド・ライト」でないだけまだまし?)。でも、一言言おう、和食に日本のビールが合うように、タイ料理には「シンハ・ゴールド」がとても合うと思う。タイ料理の辛さを和らげるためには、これくらい薄い、水のようなビールがいいのだろうと思う。ボブ・クラインは、ひょっとしたらタイ・レストランに入ったことがないのではないかと疑ってみたくもなる。そりゃ確かに、「シンハ」を1本取り出して、実験室のような場所でテイスティングをやったらそういう低評価になるのかもしれない。でも、なぜそのような味であっても「シンハ」が売れているのかをもっと考えてみる必要があると思う。タイのビール・メーカーだって馬鹿ではない。その国の気候風土、料理レシピ、国民性等といった要素に合ったビールに、改良を重ねて辿り着いたのが今の「シンハ」なのだろうと思う。

 

水のように薄いからといって、「バドワイザー」のように野外でバーベキューでもやりながら飲むという状況にはマッチするとはあまり思えない。タイにそんな習慣はないのではないかと思う。お客様を我が家に招く際、車を運転して来られる方のことを考えて薄めのビールを多少準備しておくようにしているが、とはいっても「バドワイザー」や「ミラー・ライト」だったらともかく、「シンハ」をアメリカの我が家で飲ませる姿はちょっと様になってない。やっぱりタイ料理とのコンビネーションでしょう。

 

ところで、3月18日に「タイ・キングダム」で夕食を取っていた丁度その頃、近くのホワイトハウスでは、あるじのアメリカ合衆国大統領がイラク攻撃にゴー・サインを遂に出し、CNNの無人監視カメラがバクダッドの上空を映していた。着弾が今か今かと待っているような様子で、ぼくは複雑な気持ちになった。実況生中継も結構だが、映像の美しさの裏で、バクダッド住民の生死を賭けた避難行が繰り広げられていた筈なのだ。そんな時に悠長にビールでほろ酔い気分になっている自分も馬鹿だと思うが、この戦争、何とかならないものだろうか・・・

 

2003年3月22日)

 

シンハのウェブサイトはこちら