パパが飲んだビールシリーズ30
醸造:ドイツ・ブレーメン
アクセス:ワシントン界隈では、どこでも入手可能。
“Crisp
and relatively dry overall, Beck’s hop presence stays sharp. The straw-colored body is slightly
malty in aroma and slightly floral in taste. A quietly spreading fruity character appears at
mid-bottle. The refreshing,
uncomplicated mouthfeel is light on the palate and remains constant
throughout. Beck’s finishes clean
and likable like a lager should.” (365 Bottles of Beer for the Year 2002)
ひとこと:
「スパーテン」の冒頭、ぼくは「ドイツビール・ギブアップ宣言」をした。ギブアップは宣言しておきながら、とりあえずメジャーなブランドは押さえておこうというこの魂胆、次なるターゲットは、ドイツ産ビールの対米輸出の85%を占めると言われるドイツのトップブランド「ベックス」の登場だ。これだけの輸出シェアということは、オランダの「ハイネケン」に匹敵である。ぼくのバイブルとも言えるThe Beer Lover’s Rating Guideでは5段階評価で3.1ポイントとまあまあのこのビールは、このガイドブックの著者曰く「ツナ・サラダ・サンドイッチとよく合う」のだそうだ。「クラブ・サンドイッチ」にはあまり合わないのだろうか。
ところで、さすがにアメリカでこれだけよく見かけるブランドということは、当然アメリカの小説にも時々登場する。グルメなハードボイルド私立探偵スペンサーは、6作目の「レイチェル・ウォレスを探せ」と7作目の「初秋」の頃、ベックスに一時凝っていた時期がある。その登場の仕方は、スペンサーの恋人スーザン・シルバーマンの自宅の冷蔵庫の中に入っていたという設定だった。スペンサーのビールの嗜好については、チェコビール「ピルズナー・ウーアケル」の中でも書いたが、「アムステル」や「ローリング・ロック」を好んでいること自体、スペンサーは軽めなピルゼン・ビールが好きだということが想像できるが、小説中スペンサーよりもグルメではないスーザンが、ことビールに関する限りはセンスが良いと、東理夫・馬場啓一は「スペンサーの料理」(早川書房)の中で述べている。
話は脱線するが、ぼくはこのスペンサー・シリーズの中で、「初秋」が最も好きだ。「初秋」を読んで、父親になること、父が子に伝えられることは何かを少し学んだような気がする。スペンサー・シリーズのファンの中でも、「初秋」は人気が高い作品の1つであろう。お時間のある方は是非一度読まれては如何でしょう。
そんなわけで、ぼくはこの「ベックス」というブランドを、日本にいた時から知っていた。でも、アメリカに来て、これほどどこにでも置かれている輸入ビールはそう多くなくて、何となく後回し後回しになってきた。ただ1回飲んだのは、昨夏我が家にお客様を招いて野外バーベキューパーティーを開いた時であった。「ツナ・サンドイッチ」じゃなかったけれど、バーベキューにもよく合うビールだと思う。
(2003年2月5日)