パパが飲んだビールシリーズ23
醸造:カリフォルニア州サンフランシスコ
アクセス:ワシントン界隈のスーパーマーケットなら、「アンカー・スティーム」はどこでも1、2ケースは置いてある。
“Full, rounded, and unpretentious with a ribbon of fruitiness along
the edges; distinctive bite and attenuated bitterness don’t chase you away;
this unique cross of ale and lager massages the sides of the mouth with a
subtle tang; integrated smoothness, responsive character, and overall
presentation suggest this is a food-friendly beer you could drink in (moderate)
quantities without tiring, getting bored, or feeling unduly filled; too much
heartiness and zest are lost at the bottom of the glass; sample the draft
version to fully enjoy its mellow grittiness and lasting charm. Try it with egg dishes or seafood
pasta.” (Bob Klein, “The Beer Lover’s Rating Guide”)
“This naturally carbonated entry from the pioneering Anchor Brewery
sips smoothly and companionably.
Its rounded, flavorful mouthfeel resounds with a clear,
fruit-embellished hop presence.
There is an appealing chewy character that enhances its partnership with
food. The mellow, golden-amber
body is highly aromatic, especially from mid-bottle onward, with hints of
perfume and fruitiness at the forefront. Finishing a bit dry, Liberty is truly a distinctive American
Ale. (365 Bottles of Beer for the Year 2002)”
ひとこと:
「アンカー」という地ビールのブランドについて、実は僕は日本にいる時から知っていた。理由は間接的なもので、昔愛読していたロバート・パーカーの「私立探偵スペンサー」シリーズの薀蓄本の中で、グルメ探偵スペンサーが実はビールの味を知らないのではないかという議論の中で、彼がアメリカで最も美味しいと言われる「アンカー・スティーム」に一度も触れていないことが話題として挙がったからだ。東海岸のボストンを拠点とする私立探偵が、西海岸の地ビールを好んで飲む姿というのは想像がつかないし、実際東海岸でアンカーがどの程度普及しているのか僕は疑問だと思うので、作者が東海岸の一大地ビール産地であるペンシルベニアの「ローリング・ロック」にこだわったのは、それなりに理由があるのではないだろうか。だいたい、「アンカー・スティーム」はワシントン界隈でもスーパーにせいぜい1、2パック置かれているに過ぎないマイナーブランドだ。西海岸の地ビールの中ではおそらく「シエラ・ネバダ」の次くらいに知られている地ビールであるが、ここワシントンではやっぱり「ドミニオン」が第一に来るだろう。
では実際、「アンカー・スティーム」が本当に美味しいかというと、癖がないカリフォルニアの地ビールの特徴を見事に体現している代表的なビールだと表現したいと思う。僕はアメリカにやって来た当初、未だビールについてどれがどんな味か全くわからないうちに一度だけ「アンカー・スティーム」を飲んだことがあるが、その前に苦い地ビールを何本も試していただけに、とても円やかで柔らかな味だと感じた。「アンカー・リバティ」もワシントンではよく見かけるビールだ。「スティーム」の王冠が青地に錨のイラストであるのに対し、「リバティ」の方は赤地に錨の王冠で、いずれもラベルは港湾都市サンフランシスコらしく、港をモチーフにしたデザインとなっている。(あ、「アンカー」自体が「錨」という意味でしたね!)「リバティ」の方は、いかにもエールという感じで、同じカリフォルニアの「シエラ・ネバダ」、バージニアの「ドミニオン」のエールとよく似たほのかな苦味がある。
「アンカー」が本当にアメリカ一の地ビールかというと、僕はよくわからない。人のビールに対する評価って主観的なもので、しかもTPOによって同じビールの印象が大きく左右されるからだ。また、同じ「アンカー」でも、以前王冠集めのために飲んだ「アンカー・ポーター」(エンジ色の王冠)は、口の中のドロドロ感、重厚感、飲んだ直後よりも後から襲ってくる苦味、等が気に入らなくて、その後どのブランドのポーター・ビールも口にする勇気が起きない。そんなタイプのビールに得点を付ける人だっているわけだから、ビールに対する評価って、人の嗜好にものすごく左右されると思う。
(2003年1月20日)
“A dense, malty, molasses quality and roasted-malt aspect herald
great pleasure the instant this mahogany-colored ale settles on the
tongue. Its spruce and citrus
aroma is deftly sprinkled with spicy sweetness. Intermittent notes of chocolate and licorice enhance the
mouthfeel. The vinous hop
bitterness is paired with a strong alcohol presence (8.7%/vol.). Each 7-ounce bottle of Old Foghorn
overflows with warmth and character.” (365 Bottles of Beer for the Year 2003)