アメリカ鉄道巡りK

国立アメリカ歴史博物館
National Museum of American History

 

 

 

 


場所:ワシントンDC

アクセス:アーリントンからは車で15分程度。地下鉄オレンジラインの「フェデラル・トライアングル」駅を下車して南方に歩いて1ブロック。

 

《ジョン・ブル号 2003年3月9日撮影》

*ゴメンナサイ。室内が暗過ぎてフラッシュが届きませんでした。

 

ワシントンの観光資源の筆頭格、スミソニアン博物館群の1つである。アメリカの歩んできた道を様々な角度から紹介している国立アメリカ歴史博物館では、当然ながら運輸・交通の歴史を紹介するコーナーがあって、その中には蒸気機関車の室内展示も幾つかある。

 

最も有名なのは、博物館に入った1階ロビーの東側コーナーに展示されている「ジョン・ブル(John Bull)」号である。同名のついた蒸気機関車は、1831年から建造され、1865年までニューヨーク〜フィラデルフィア間を走ったが、展示されている「ジョン・ブル」号は、1845年製で、現在北米大陸で走行可能な状態にある最古の蒸気機関車として知られている。当時、ニューヨークとフィラデルフィアの区間は、1日がかりの旅だったらしい。その他の機関車の展示も若干あるが、その展示室は2003年3月現在改装中で見学することができなくて残念だ。

 

折角訪れるのだから鉄道関係の展示だけを見ても面白くないのは確かであるが、スミソニアンの博物館群の中では、ぼくのお薦めは「航空宇宙博物館」と「アメリカ自然史博物館」であり、アメリカの歴史がひと目でわかるからといって、「アメリカ歴史博物館」を真っ先に薦める気にはなかなかなれない。アメリカ史と謳っていながら、南北戦争の関係の展示が殆どないことも疑問だ。「ここに行けば南北戦争についてコンパクトに理解ができる」という博物館は、残念ながらぼくはどこにあるのか知らない。同様に、ここに来たからといって、アメリカの鉄道史がコンパクトにわかるというものでもないような気がする。アメリカには各地に私営の鉄道が敷設され、陸上輸送の大きな手段として19世紀から20世紀前半にかけて大いに栄えたという歴史はあるものの、スミソニアンにそのような展示があるとはあまり聞いたことがない。「アメリカ歴史博物館」の鉄道展示室には、1926年製のパシフィック型蒸気機関車「シャーロット」号(280トン)や、1898年製シアトルのケーブルカー、1898年当時活躍していたワシントンDCの市電などの展示があるが、それらがどのような基準で選ばれ、展示されているかについて、理解に苦しむ。その点では、アメリカでも最も歴史のあるボルチモア&オハイオ鉄道やペンシルベニア鉄道の博物館の方が、テーマがはっきりしていて、その歴史も非常に具体的なので、本当に鉄道に興味がある人は、ワシントンから足を伸ばして、ボルチモアやストラスバーグに行かれることをお薦めしたい。

ただ1つ、スミソニアンの「アメリカ歴史博物館」でお薦めだと思うのは、地階にあるミュージアム・ショップだ。どこの博物館に行っても、テーマが限定されたお土産物が多いが、ここの商品はいわゆるアメリカ、ワシントンDCの一般的なもので、無難なお土産物として非常に重宝している。スミソニアンのミュージアム・ショップの中で床面積は最大である。勿論、ここには運輸・交通関係の書籍もかなりの種類が置かれている。ボルチモアやストラスバーグの博物館に行くと、そこの鉄道に特に関連するような、いわば「オタク系」のアイテムが非常に多いが、スミソニアンの場合は観光客に鉄道だけに非常に関心があるという人は少ないので、「アメリカ鉄道史」とか「アメリカの私営鉄道統廃合の歴史」とか、レファレンスに適したガイドブックや事典、入門書的書籍がとても充実している。アメリカだけではなく、時には世界の鉄道の図鑑みたいな本も多い。日本の新幹線やモノレールの写真が載った図鑑を見つけた時は、とても嬉しかった。

 

 

《スミソニアンといえば、やっぱり航空宇宙博物館のアポロ?》

 

アメリカ歴史博物館のウェブサイトはこちらから

 

(2003年3月10日)