理想の酒を求めて(日本編) (2)
醸造地:ヒュールガルデン(ベルギー)
日本で飲める商品:White Wheat
有識者の評価
"Immediate winey, almost vinegary, aroma; fruity, perfumey sour taste at the sides of the tongue; quickly dissipating fresh flat texture; sweetens to a honey mouthfeel with food; much more palatable at the end than at the beginning, shimmering cloudiness; hints of coriander and curacao, both common flavoring ingredients used before hops. Good with Italian food as well as brunch dishes." (Bob Klein, The Beer Lover's Rating Guide)
ひとこと:
久しぶりに日本に帰ってきて、大学時代の仲間が新宿での歓迎会を開いてくれた。場所は、ボクの勤務先の本部がある新宿マインズタワーの裏で、都庁に勤める友人の趣味でベルギービールのお店「ヒュールガルデン」ということになった。ベルギービールを楽しみに出かけ、その種類の多さに驚いた。そして、その殆どのビールのアルコール度の高さにも驚いた。7%〜9%が普通なのだ。早めに行って他の参加者の到着を待っている間に1杯、2杯と進み、いつの間にか出来上がっていた。
この逸話の中でご想像されるのではないかと思うが、ベルギービールというは、国土の面積に比して非常に種類が多い。それぞれに特徴があって、どの料理にはどのビールが合うのかというような、組み合わせ飲み合わせの妙を堪能することができる。
本日ご紹介したいベルギービール第一弾は、新宿のお店の名前でもある「ヒュールガルデン」だ。ヒュールガルデンとは、ブリュッセルから40kmほど離れた田舎町の名前で、現存する醸造所はこの町の名前をずばり冠するビールのみということらしい。製法的にはエールに相当し、欧州で吹き荒れたラガービールの急増の波に押されて次々と消えていった白ビール(小麦ビール)の生き残りブランドの1つである。この田舎の醸造会社も、ベルギー拠点のグローバル企業インターブリュー社の傘下に入ることで生き延び、その強力なマーケティングのお陰で今では世界中で知られた白ビールのブランドとして定着している。
白ビールというのは、大麦に比べて小麦を用いる比率が高く、エールでありながら色が比較的薄くて少しだけ濁っている。ドイツ名でいうと「ヘーフェバイツェン」で、ボクがワシントン駐在時代に特に暑い夏場にお奨めのビールとしてよく紹介していたように思う。日本チックに風呂上りに一杯という場合には非常に適したビールだと思う。「ヒュールガルデン」の白ビールも、そんな飲み方ができるんじゃないかと思う。ベルギービールにはよく見られる香辛料入りのビールであり、ヒュールガルデンにはコリアンダーとキュラソー・オレンジの皮を乾燥させたものが香りと風味付けに使われている。夏場のビールだろうから、3℃くらいには冷やして飲むと良いらしい。
かのボブ・クライン氏の評価は5点満点中2.6点と比較的辛口である。小麦ビールの最高点は4.4であることを考えると、おそらく上記の寸評に込められたクライン氏の意図は、「それよりおいしいビールがある筈」ということなのだろう。但し、彼が高い評価を与えている小麦ビールの殆どがドイツビールである。ベルギービールといっても、ヒュールガルデンはややバドワイザー化した売られ方でもあるため、反感をかったのかもしれない。第一、ベルギービールなのに「イタリアン料理や朝昼兼用食に合う」なんて書いている点、一体、彼がどのようなTPOでヒュールガルデンを飲んだのか疑問で仕方がない。
このビール、今や日本でも購入することができる。JR新宿駅南口からルミネ口に向かって構内を歩いてゆくと、左手にリカーショップがあるが、先日用があって新宿に行った際、ふらっと立ち寄ったところ、「ヒュールガルデン」を発見し、小瓶1本購入した。小瓶とはいえ1本300円以上する贅沢な買い物である。こんなコラムを書いているからボクは大枚はたいて飲み歩いていると思われるかもしれないが、ごく質素なビール愛飲家で、日本に帰ってきてからは毎晩晩酌などという生活はしていない。週2回程度の晩酌という質素な生活である。
(2004年3月14日)