ワシントン近郊のスキー場巡り

 

《2003年2月1日、ペンシルベニア・リバティスキー場にて》

 

概況

ワシントン近郊は、夏のキャンプに冬の紅葉と見どころは多いのだが、木々の葉が落ちて景色が一転すると、アウトドアでどこかへ出かけようという気持ちがなかなか起きない。東京と比べて冬の気温が低く、とても外出しようという気になれないということもある。

ワシントン周辺は、一般的にはあまり冬場の積雪が期待できない。でも、バージニアやメリーランド、ペンシルベニアの地図を見ると、スキー場がかなりあるのが目に付く。東海岸でも北の方のニューイングランド地方やペンシルベニア州辺りまでならなんとかわかるが、よく地図を調べるとノースカロライナ州のジョージア州との境界近辺にもスキー場がある。自分が訪れたスキー場はせいぜいペンシルベニア州南部までなのだが、雪などないような丘陵地帯に忽然とゲレンデが姿を現すのである。そう、人工スキー場なのだ。どこに住んでいてもどんな状況であってもスキーをやりたい奴はやりたい、高いコストを払ってもそれを実現させてしまうのがアメリカ人的である。(余談ながら、生後間も無い赤ん坊をストローラーに乗せて、寒風吹きすさぶトレイルをストローラーを押しながら走る女性ランナーを見ると、子供が風邪ひくリスクを冒してもジョギングやりたい人はやるのねと呆れてしまう。)

ただ、ことスキー場に関する限り、自宅から車で2時間程度のところにスキー場があるのはお手軽でとても助かる。上はフリースのジャケット、下はジーパンという出で立ちのスキーヤーがいるくらいだから、手ぶらで行ってちょいと半日滑って来るというのが可能なのだ。自分がやりたいなら万難を排してもやりたいというアメリカ的思考のお陰で、こちらのスキー場にあるサービスを紹介しよう。

·         道具のレンタル:スキーブーツ、板、ストックはセットでレンタル可能。半日25ドル程度である。サイズが「インチ(身長)」や「ポンド(体重)」「号(シューズ)」表示で、係員が融通効かないケースも多いので、予め自分のサイズを把握しておくことが必要である。

·         託児施設:たいていのスキー場では5歳からスキーレンタル可能だが、5歳未満の子供がいる場合、ちょいと託児施設に預けて1時間ほど滑ってくるということも可能だ。1時間10ドル程度だ。子供が良い子なら半日以上預けて昼食もそこで提供を受けることも可能だ。その分カネはかかります。

·         スキースクール:5歳未満の子供は託児施設に預ければいいが、滑りたくて仕方がない子供には、入門編のスキー教室がある。対象は6歳位から12歳位までで、スキーだけでなくスノーボード教室というのもある。残念ながら、うちは樹生をスクールに入れたことがないので、料金がどれくらいかはわからない。

予算の方は、託児施設やスクーリングを含めないで、大人2人、子供1人で半日滑ると、レンタルを含めて160〜180ドル程度である。平日や夜間スキーはもう少し安くなる。泊りがけでゆっくりと滑りたい方のために、リゾートホテルも隣接されており、パッケージにするともう少し割安になるらしい。

交通の便であるが、アメリカでは一般的に道路の除雪がかなり迅速に行なわれるため、多少の雪でもノーマルタイヤを履いてスキー場まで行くことは可能である。ただし、当然早朝に自宅を出発してスキー場にでかけるわけだから、路面が凍結している箇所では注意を要する。

ワシントン近郊のスキー場の完全リストはこちらからご覧になれます。

 

スキー場紹介

1.    ホワイト・テイル(ペンシルベニア州)

ワシントンから車で2時間弱、メリーランド州ヘイガーズタウンからハイウェイを降りて農道を10分ほど走ると突如としてゲレンデが現れる。2002年2月に行った最初のスキー場だが、天候が暖かくて雪が解けてあまり楽しめた印象がない。コース設定が、中高級スキーヤー向けと初心者向けとで距離が離れており、初心者にとってはあまり親切な設計ではないなと思った。ただ、中級以上のコースはそれなりの難易度はあるようで、美澄にとっては楽しいスキーだったかもしれない。職場の同僚のMさんが、「ホワイト・テイルはいい!」と力説されていたが、難易度が高いコースがそれなりに揃っている点を評価されているのだろうと思っていた。

2003年3月2日に、4家族と独身女性3人のグループで、ホワイト・テイルへのツアーを企画してみた。2度目の訪問で初めて気が付いたのであるが、ここは確かにTバーを使った超初心者向けコースが一番スキー場の端っこにあるので、小さい子連れで来るには不便なのだが、初級と中級のリフトが隣接しており、ある程度滑り慣れた子供を連れて行き、親が代わる代わる子供の面倒を見つつ、交替で1人滑りにでかけるのには適しているように思った。初級コースは比較的なだらかで距離もそこそこあるため、超初心者コースを省略して、初級コースを最初から子供に滑らせてもよいかもしれない。

2度目の訪問となった2003年3月、グループツアーを企画しておきながら、スキーを終えて駐車場に戻ると、うちのミニバンの右後輪がなんとパンクしていた。多分、ここのスキー場の駐車場内で釘でも踏んだのだろう。すぐにスペアタイヤに交換するにしても、スペアタイヤでワシントンまで走って帰ることは難しい。スキー場のヘルプデスクで、近くにタイヤショップやレンタカー会社がないかどうか尋ねてみた。彼らにできることは、イエローページで電話番号を調べるくらいだが、一応、電話で開いているか確認するところまではサービスとしてやってくれることがわかった。但し、この日は日曜日で、大方のワークショップや会社は休業していたので、結局それらのサービスは殆ど役に立たなかった。実はここで役立ったのは、先発隊で先に会場を後にしたグループが、最寄のインターステートハイウェイの入り口近くにあるガソリンスタンド数件で、タイヤ修理が可能かどうか尋ね、その情報を携帯電話で知らせてくれたことだ。お陰で、スペアタイヤで数マイル走ってガソリンスタンドに辿り着き、ほんの数分でパンク修理は終了、無事ワシントンに帰ってくることができた。

読者の皆様、グループでスキー場に出かけるメリットは、子供は子供同士で遊んでくれ、ツアー参加者の中で順繰りに子供のケアで持ちまわっている間、他の参加者は思う存分滑ることができるというだけではない。困った時に本当に力になってくれるのは、こうしたグループツアーのメンバーである。それに携帯電話があれば、たいていのトラブルはなんとかクリアできるということが今回実感としてわかった。

ホワイト・テイルのウェブサイトはこちら

2.    ブライス(バージニア州)

ワシントンから車で2時間弱、州間高速66号線から81号線に入り、「マウント・ジャクソン」で降りてさらに西に10マイルほど走った丘陵地帯の中にある。バージニア州のスキー場といったら、もう少し南にある「マサナッテン」の方が有名だが、「ブライス」はこじんまりとまとまっていて、静かにマイペースで滑るには丁度良い規模かもしれない。コースの難易度はさほどではないというのが美澄ママの評価だが、アメリカに来て初めて屋外のコースで滑ったパパは、狭山人工スキー場よりも多少レベルが高いコースでそこそこ滑ることができたので、大いに満足だった。それ以上に、ここのコースは樹生がスキーに打ち込むのに丁度良い配置になっているので、樹生が納得ゆくまで滑ってくれたのでよかったと思う。

因に、ブライスは夏場にはグラススキー場にもなるらしい。スノースキーの前にグラススキーを少しだけ経験していたパパは、最後の夏にグラスにも挑戦したいと秘かに思っているのだが、グラスはスノーの経験を問われるらしいので、最後の冬はできるだけスキーに行きたいと思う。また、ブライスはスキー場の他に、ゴルフ場も隣接していて2、3日滞在してゆっくりとアウトドアのスポーツを楽しむには丁度良い環境である。スキーで疲れた後は、近くの温泉にゆっくり浸かって疲れを取るのも良いかも。

ブライスのウェブサイトはこちら

3.    リバティ(ペンシルベニア州)

《リバティの初心者コース〜見よこのなだらかな斜面》

ここは近い。ゲティスバーグの少し南西にあり、ワシントンからは車で1時間30分以内で行くことがてきる。おそらく、いちばん近いところにあるスキー場だろう。私達が訪れたのは2002年の年の瀬も押し迫った12月29日で、前の晩に思い立って、早朝に家を出た。着いたのは9時頃で、半日滑って午後3時には帰宅することができた。前々日にこの地方には積雪があったようで、人工スキー場とは思えないくらい、スキー場周辺も雪化粧だった。コースはかなり易しくて、ここもママのお眼鏡には叶わないが、ここも入門者にはお手頃で、ブライスと比べて初心者向けコースのリフトが長めにとってあるので、Tバーに子供と一緒に不自然な姿勢で捕まる必要はなく、普通のリフトに子供と一緒に座って乗って、あとは長い斜面をゆっくりゆっくり降りて来ればよい。子供のお付き合いを強いられる親にとっては非常に楽だし、子供達は長くこけずに滑り降りられれば自信にもなるだろう。

《ボクだって、4回も行けばハイこの通り!》

リバティのウェブサイトはこちら