山田パパのアメリカズ・ホームタウン

ルイジアナ州バトンルージュ

 

 

始めに

 

ルイジアナ州の州都バトンルージュ(「赤い棒」という意味)は、ぼくのアメリカでの故郷である。1985年8月から86年6月までルイジアナ州立大学(LSU)に留学したのを皮切りに、89年3月の卒業旅行、95年8月の新婚旅行第二部、2001年8月、2002年12月の家族旅行と、過去5回この町を訪れている。LSU留学がぼくにとってとても楽しくて貴重な体験だったのは勿論のこと、その際にホストファミリーとしてお世話になったパーシー&デイジー・ミラー御夫妻がその後も当地でご健在だったことが大きい。ご主人は95年にお亡くなりになったが、その後はバトンルージュを訪ねる度に、一人暮らしをされているデイジー夫人をお見舞いしてきた。そのデイジー夫人も、2003年2月19日に81歳でお亡くなりになった。ぼくは単身で、夫人の葬儀に出席するため、6度目のバトンルージュ訪問をしてきた。

 

故ミラー御夫妻のお嬢さん、ダイアン、テレサ、キャミと息子のチャックさんのご家族は、今もバトンルージュ近辺に住んでいる。ぼくがデイジー夫人の葬儀に参列したことをことのほか喜んで下さり、「コージはお母さんにとって本当の息子のようなものだったから」と言って、葬儀ミサの冒頭、棺桶の蓋を閉める前に、家族が行なった別れの挨拶にぼくも立ち会うことになった。テレサによれば、故デイジー夫人は、ぼくの受け入れで非常に良い印象を持ち、その後2人の外国人留学生のホストを務められたのだが、今でも交流があるのはぼくだけで、ぼくと家族が夫人を訪ねる度に、「コージが来てくれた」と喜んで話しておられたそうだ。ぼくは、留学を終えて以来、テレサとキャミとは一度も会っていないが、そんなぼくを家族同然に迎えてくださったその気持ちがとても嬉しい。ミラー御夫妻が晩年を過ごされたバトンルージュという町は、これからもぼくにとってかけがえのないアメリカの故郷として、大切にしてゆきたい。

 

ところで、このバトンルージュという町にも、歴史的建造物がないわけではない。ぼくはLSU留学時代、自分が車を持っていなかったものだからあまりキャンパスの外に足を運んだことがなかった。だから、市内にある旧知事邸(Old Governor’s Mansion)や郊外のプランテーションについては自分が訪問したことがない。ここで紹介できるのは、自分が卒業旅行の際にミラー御夫妻に案内していただいた「LSU農村生活博物館」くらいである。

 

l        バトンルージュ市のウェブサイトはこちら

 

 

ルイジアナ州立大学(LSU)農村生活博物館(LSU Rural Life Museum)

 

LSUは農学で有名な大学で、キャンパスの外にも広大な敷地の農業研究施設を持っている。その敷地の一角に、奴隷制時代の古い家屋をそこで使われていた道具とともに配置し、近代化以前のルイジアナの生活を学ぶことができる野外博物館を設置している。

 

Dog Trot House: “The so-called “Dog Trot” house, is one of the earliest styles of construction to be found.  The few remaining dog trot houses are found in north Louisiana and north Mississippi.  They usually have the kitchen and dining room on one side of the house and the bedrooms on the other side.  The accommodating space between the two sides allows for greater air circulation on hot afternoons and is the forerunner of the screened breezeway in more modern houses.  The name, of course, comes from the fact that the family dog could trot up and down through the center.  We can imagine family members, on a hot afternoon, sitting in rocking chairs, catching the draft.  A couple of hounds would probably have been there with them, lying alongside the family, thumping their tails on the wooden floor when spoken to.” (“Historic Houses of the Deep South and Delta Country”)

Trapper’s Cabin: “Looking out from under the eaves, we can see the back of a trapper’s cabin nearby.  The chimney is of bousillage construction, (pronounced boo-see-yazh), and meaning botched or bungled.  It was used by the French people to build a simple but serviceable chimney.  Small cross sticks were placed two by two at each level, as if one were building a log cabin.  As the construction of the chimney went up, wet clay was packed all around the branches, and when the whole fabrication dried hard, the structure was a good substitute for bricks and mortar.  Often, for the sake of safety, the chimney had to be rebuilt from time to time.  The cabin itself is built of wide slabs of cypress, rather than logs.” (“Historic Houses of the Deep South and Delta Country”)

 

Trapper’ Cabinは、ガイドブックなどではPioneer’s Cabin”という名で紹介されている。このキャビンの両側には、ジャガイモやトウモロコシの貯蔵庫が設置されている。これらの他にも、ケイジャンの原型となったアケイディア人の住まいだとか、奴隷とその監督者が居住していたコミュニティの建物群とかが置かれており、関心ある人にはとても魅力的な博物館だと思う。

 

 

Dog Trot House》           《Trapper’s Cabin》

 

LSU農村生活博物館のウェブサイトはこちら

 

 

バトンルージュのケイジャン料理レストラン

 

学生時代はあまりキャンパスの外に出かけることが少なかったので、市内のレストランの開拓はあまり進んでいないのが実情であるが、市内のモーテルならどこにもパンフレットが置かれていて、観光客が多く訪れているであろうケイジャン料理のレストランを1軒紹介しよう。

 

l        ブーテンズ(Boutin’s):バトンルージュの南の外れ(8322 Bluebonnet Blvd., Baton Rouge, LA 70810, 225-819-9862)にお店がある。取り分けダンスフロアがとても広くて、夜はバンドによるケイジャン音楽の演奏があり、そのビートに合わせてレストランの訪問客も踊るという仕組みである。料理については、ぼくはとりわけ美味しいというほどのものでもないような気がした。例によって例の如く、Crawfish Etouffeeを注文してみたのだが、出てきた料理に、クッキー製の小皿に入ったコーンが付いてきたが、このクッキーが甘くて、エトゥーフェのスパイシーな味とどうにも組み合わせが良くないような気がしたのだ。まあ、エトゥーフェ自体はまあまあだし、一応ここのお薦めの1品だし、一度は訪問してみてもよいかもしれない。ご当地の「アビータ」の地ビールでも飲んで、酔いが回ったところで、旅行のパートナーをダンス・フロアに連れ出し、アコーディオンの響きに合わせて「ツーステップ・ビート」を踊るのには良いかもしれない。今、バトンルージュのガイドブックではかなり大々的に紹介されているレストランの1つであり、当地を訪問するなら、せめて一度はトライしてみるのは良いことだ。デイジー・ミラー夫人の葬儀に参列するために単身バトンルージュを訪れたぼくは、このレストランに単身で入り、1人寂しく夕食を食べた。バンドの演奏でMary Chapin Carpenterの11年前のヒットナンバー「Down at the Twist and Shout」を聴いた時には、初めて自分が知っている曲が演奏されるのが嬉しくて、踊りだしたい気分になった。この歌手自体はカントリー・シンガーの1人に数えられているのだが、この曲の歌詞は、ルイジアナの文化を彩る固有名詞を多く含んでいるのが気に入り、口ずさんで歌詞を覚えたものだ。

 

Down at the Twist and Shoutを歌う》